企業の採用活動において「求人票」は、求職者が最初に目にする重要な情報です。求人票には労働基準法などで定められた必須項目があり、記載漏れや不正確な表現は、応募者の不信感を招き、採用後のトラブルに直結します。
しかし、必須項目をただ埋めるだけでは、求める人材からの応募は集まりません。
本記事では、企業の採用担当者様へ、法令を遵守しつつ「この会社で働きたい」と思われる求人票の書き方を、具体的なテンプレートを交えて解説します。ミスマッチを防ぎ、採用を成功させる第一歩を踏み出しましょう。
目次
1.求人票の必須項目一覧
厚生労働省やハローワークの指針によると、求人票に記載すべき項目は以下の通りです。
| 職種・仕事内容(具体的かつわかりやすく) 雇用形態(正社員/契約社員/パート 等) 試用期間の有無と条件 就業場所(住所・最寄り駅・転勤の有無) 受動喫煙対策の状況 賃金の詳細(基本給・各種手当・固定残業代の有無) 昇給・賞与の有無と実績 就業時間・休憩・残業の有無 休日・休暇(年間休日数、シフトの有無) 加入保険(健康・厚生・雇用・労災 等) 定年・再雇用制度 応募資格(必須・歓迎条件) 選考方法・応募書類・担当者情報 |
これらをもれなく記載することが、法令遵守の最低ラインとなります。
2.求人票必須項目の正しい書き方と工夫
職種・仕事内容

求人票の冒頭で最も重要なのが「職種」と「仕事内容」です。
ここが曖昧だと応募者は「自分にできる仕事かどうか」が判断できず、応募意欲が下がってしまいます。
<書き方のポイント>
・専門用語ばかりではなく、一般的に理解されやすい表現を使う
・業務の流れや使用するツールを具体的に示す
・「営業」だけでなく「法人向けルート営業/新規開拓なし」のように補足する
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実例 |
勤務地・就業時間・休日
応募者が気になるのは「どこで・どんな働き方をするか」です。
働き方を最優先にチェックしている求職者も少なくないため、ミスマッチを防ぐためにも詳細に記入しましょう。
<書き方のポイント>
・勤務地は住所を正確に書き、最寄り駅からのアクセスも記載
・転勤の有無や範囲を明確に
・勤務時間は「9:00~18:00(休憩60分)」のように具体的に
・シフト制の場合は「週5日・1日実働8時間/シフト希望考慮」などルールを明示
| 実例 ⭕:勤務地/東京都港区〇〇1-2-3(JR〇〇駅徒歩5分)※転勤なし ⭕:勤務時間/9:00~18:00(休憩60分) 残業:月平均10時間程度 ⭕:休日/完全週休2日制(土日祝)、年間休日120日 |
賃金・手当・福利厚生・試用期間

「給与が実際にどのくらいなのか」「どんな待遇があるのか」は応募者が最も重視する部分です。給与を上げるために転職を検討する方もいますので、明確に記入しましょう。また、入社後のトラブルになりやすいポイントでもありますので、詳細に記入することをおすすめします。また変更があった際には、直ちに修正しましょう。
<書き方のポイント>
・基本給と手当を分けて記載
・固定残業代を含む場合は時間数と金額を明示
・昇給・賞与の有無、実績もできる限り数字で示す
・福利厚生は応募動機に直結しやすいため、制度名を具体的に列挙
| 実例 ⭕:月給220,000円~300,000円 (基本給180,000円+職務手当20,000円+固定残業代20,000円/15時間分含む。超過分は別途支給) ⭕:昇給/年1回(前年度実績 平均5,000円)、賞与/年2回(計2.5か月分) ⭕:福利厚生/交通費全額支給、資格取得支援制度、退職金制度(勤続3年以上) ⭕:試用期間3か月あり(条件変更なし) |
年齢・性別・応募資格など注意点

求人票には「応募資格」を記載しますが、法律で制限される表現に注意が必要です。
<注意すべきポイント>
・性別を限定する表現(例:「男性歓迎」)は男女雇用機会均等法違反となる恐れあり
・年齢制限は原則禁止。例外は「キャリア形成のため35歳以下」など合理的理由がある場合に限り可
・応募資格は「必須条件」と「歓迎条件」を分けると、応募者層を広げやすい
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実例 |
選考方法・応募方法・通知方法
応募者にとって「どのように応募し、どんな流れで進むのか」は安心材料です。
<書き方のポイント>
・選考ステップを明示(書類選考 → 一次面接 → 最終面接 → 内定)
・面接回数や所要期間の目安を示すと親切
・応募書類の種類(履歴書・職務経歴書)を明確に
・通知方法(メール/電話)も書いておく
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実例 |
参考:厚生労働省「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」
3.求人票で避けるべきNG表現
求人票には記載してはいけない表現があります。
| ・性別を限定する(例:「女性限定」「主婦限定」) ・年齢制限を設ける(例:「35歳以下」)※合理的な理由がある場合を除く ・誇大広告(「必ず稼げる」「楽しく働けること間違いなし!」) ・実態と異なる条件(賞与ありと記載しているが実際は未支給など) |
これらは法令違反やトラブルの原因となるため厳禁です。
また、Indeedなどに掲載する場合には、NG表現がある場合には求人が反映されないケースがあるため、正しい表現で記入しましょう。
4.求人票を魅力的に見せる工夫
法令を守るだけでは、応募者の心は動きません。
情報を「どう見せるか」も重要です。
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<求人票作成の工夫ポイント> |
これにより、求職者が「ここで働きたい」と感じやすくなります。
とはいえ、「自社の本当の魅力は何か?」「どんな言葉を使えば求職者に響くのか?」を客観的に見つけるのは難しいものです。
もし求人票の表現にお悩みでしたら、多くの企業の採用を支援してきた弊社が、貴社の魅力を最大限に引き出すお手伝いをいたします。まずはお気軽にご相談ください。
5.社内チェックリスト:作成後にこれだけは確認!
求人票を公開する前に、最低限以下をチェックしましょう。
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・記載漏れがないか(賃金・就業時間・休日など) |
6.まとめ

求人票作成において、法令遵守は企業の信頼を守るための絶対条件です。しかし、必須項目をただ埋めるだけでは、数ある求人の中から自社を選んでもらうことは困難でしょう。
本記事で解説した必須項目と書き方のポイントを押さえることで、法令違反のリスクを回避し、求職者に安心感と魅力を与える求人票を作成できます。
とはいえ、
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魅力的な文章を考える時間がない…
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自社の強みをどうアピールすれば良いか分からない…
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法令や各媒体のルールが複雑で不安…
このようなお悩みで手が止まってしまう採用担当者様も多いのではないでしょうか。
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参考:厚生労働省「求人申込書の書き方」
参考:厚生労働省「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」
参考:doda「求人票の書き方を解説。記載してはいけないNG項目から応募につながるコツまでを紹介」
参考:マネーフォーワードクラウド「【例文付き】求人票の書き方は?厚生労働省の指針、雇用形態別の記入のコツも解説」




















