「求人票に『◯歳以下』と書きたいけど、法律的に大丈夫?」とお悩みの採用担当者様へ。
募集・採用における年齢制限は、法律で原則禁止されています。しかし、例外的に年齢制限が認められるケースもあり、正しい知識がないと思わぬトラブルを招くことも。
本記事では、年齢制限が認められる例外事由から、そのまま使える具体的な記載例までを網羅的に解説。
法令を遵守し、貴社にマッチした人材からの応募を増やす求人票作成のポイントがわかります。
目次
年齢制限禁止の原則とは何か

前提として、年齢制限は原則禁止です。
労働施策総合推進法(旧:雇用対策法)では、事業主に対し、募集・採用において年齢を理由とした制限を設けることを禁止しています。
法令の根拠
「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止」の規定は、雇用対策法(改正後の名称含む)やそれに関連する規則・指針で定められています。
平成19年10月から、企業は募集・採用広告に「年齢を理由とする制限」を設けてはならない義務が法的に課されています。
禁止される具体的な行為
・求人票に「35歳以下」のような上限年齢を記載する。
・採用選考や書類選考の段階で、実際に年齢を理由に応募を断る・不利に扱うこと。
・「若手歓迎」「中高年歓迎」といった表現が、年齢制限と実質的に同じ意味を持つと判断されるもの。
参考:厚生労働省
「募集・採用における年齢制限禁止について」
「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」
「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?
法令で認められる例外事由(年齢制限が可能なケース)

年齢制限を記載する際の表現のポイントと注意すべきこと

例外事由で年齢制限を使えると判断した場合でも、表現の仕方や文言の選び方は注意が必要です。
採用担当者として押さえておきたいポイントを以下にご紹介します。
書き方のポイント
例外該当の明示:求人票に「定年65歳を上限とする」など、どの例外理由による年齢制限かを明示できる表現を使う。
応募者に対する理由提示義務:
特に「65歳未満」で制限を設ける場合、高年齢者雇用安定法第18条の2による「理由の提示義務」があります。求人票上で簡単に理由を書き、求職者から求められたときには詳細を説明できるよう準備を。
経験・能力ベースの条件との併用:
若年者を対象とする例外事由を使う場合、「経験不問」の条件を付けるなど、年齢以外の要件を制限的にし、年齢制限が実質的に能力・経験による選考ではないことを示す。
避けるべき表現(NG例)
・「〇〇歳以下」「〇〇歳以上歓迎」など、年齢を明確な基準として使う表現(例外趣旨を外れるもの)
・「35歳未満の方歓迎」など、年齢制限と歓迎表現の混同を生むもので、実質的に年齢制限と判断される恐れがあるもの
・年齢制限の根拠を記載せずに設定すること(理由提示義務を無視するもの)
年齢制限を設けるときの具体的な記載例
以下、実際の求人票で例外事由を使う際の表現例です。
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ケース |
記載例 |
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定年年齢を上限とする場合 |
「定年が65歳のため、65歳未満の方を対象とする募集です。」 |
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法令による年齢制限がある場合 |
「深夜業務を含むため、労働基準法により18歳以上の方を募集します。」 |
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若年者のキャリア形成を目的とする場合 |
「長期勤続によるキャリア形成を図るため、経験不問・30歳未満の方を対象とする募集です。」 |
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技能・ノウハウ継承を目的とする場合 |
「特定年齢層の社員が少なく、技能継承を図るため、30歳〜49歳の方を対象とする募集です。」 |
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芸術・芸能分野など表現上の要請がある場合 |
「表現の真実性を確保するため、特定の年齢層を対象とする募集です。」 |
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高年齢者や就職氷河期世代などを対象とする場合 |
「高年齢者等の雇用を促進する施策の対象となるため、60歳以上の方を対象とする募集です。」 |
※上記の記載は、ハローワークが定める例外事由(a〜f)に基づいた例文です。実際に年齢制限を設ける際は、自社の制度や募集目的が該当事由に合致しているかを必ず確認しましょう。
参考:ハローワーク 年齢制限該当事由について
年齢制限が禁止されている理由と企業のメリット

求人票の年齢制限が原則禁止されているのは、単に厳しいルールを課すためではありません。このルールを守ることが、実は企業の採用活動や長期的な成長にとって大きなメリットにつながるからです。
ここでは、年齢制限禁止の背景にある3つの目的を、企業の視点からわかりやすく解説します。
① 均等な雇用機会の確保
すべての人が年齢に関係なく働く機会を得られるようにすることが、この制度の最大の目的です。年齢を理由に応募の段階で排除されることがないようにすることで、多様な人材が活躍できる社会を実現しようという考え方に基づいています。
(出典:厚生労働省)
② 高年齢者の雇用安定
少子高齢化が進む中で、企業には高年齢者が長く活躍できる環境づくりが求められています。年齢制限を撤廃することで、経験豊富な人材の再雇用やキャリア継続の機会を広げ、労働力不足の解消にもつなげる狙いがあります。
(出典:ハローワーク)
③ 企業の透明性と信頼性の向上
年齢制限を設ける場合には、例外事由とその理由を明示することが求められます。これは、求職者に対して採用方針を誠実に伝えることで、企業の信頼性を高めるための仕組みです。採用基準をオープンにすることは、結果的に企業ブランドの向上にもつながります。
参考:
厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止について」
ハローワーク「年齢制限該当事由について」
まとめ
求人票に「年齢制限」を記載することは、原則として法律で禁止されており、基本は「年齢不問」での掲載が原則です。
とはいえ、定年制度や法令、若年者のキャリア形成など、一定の条件を満たす場合には例外的に記載が認められるケースもあります。重要なのは、例外事由に該当しているかを正しく理解し、理由を明示したうえで、公平・透明性のある表現で求人票を作成することです。
法令を遵守しつつも、自社の採用目的を的確に伝えることで、求職者に信頼される求人情報を発信できます。
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