転職活動で複数の企業から内定が出た場合、転職する企業以外には内定辞退を申し出なければなりません。
たとえば1社の内定承諾をした後に思いがけず希望度の高い企業から内定が出た場合、内定辞退をすることは可能か?内定承諾後の辞退は違法?などと悩む人もいるでしょう。
そこで今回は転職活動での内定辞退についてマナーや採用担当者への伝え方、トラブルを避けるためのポイントについて解説します。
転職活動の内定辞退について迷っている人はぜひ参考にしてみてください。
目次
転職の内定承諾後に入社辞退はできる?
結論から言うと内定承諾後でも入社を辞退することは可能です。
日本の憲法である「職業選択の自由」により、企業は内定者からの辞退を拒否することはできません。
内定承諾書に法的な効力はない
転職で内定の連絡をもらった後、入社の意思を誓約する内定承諾書へサインを求められる場合があります。
内定承諾書は企業が作成し、内定者に提示する書類です。
入社日や入社条件、待遇についての記載があり、内定者が署名することにより書類の内容に同意して労働契約が成立します。
「労働契約が成立するのなら、承諾後に内定辞退をすると損害賠償などトラブルになるのでは?」
と心配になる人もいるでしょう。
しかし、内定承諾書は労働契約の成立を意味するものの法的な効力があるわけではありません。
できる限り早く連絡をする
法的効力はないものの、内定辞退をすることは企業にとって大きな損失です。
人材を採用するためには人的労力と多大なコストがかりますが、内定者が辞退すると一から採用活動をし直さなければなりません。
時間とお金をかけて選考を進め、内定を出してくれた企業へ誠意を示すためにも内定辞退の連絡はできる限り早く行うのがマナーです。
入社前研修などはトラブルが発生しやすい
企業によっては入社前に内定者を対象とした研修があり、内定承諾をした時点ですでに研修の予定が組まれているケースも。
研修の実施には会場の確保、外部講師の手配、資料や必要なツールの準備など手間とコストがかかります。
そのため、内定の連絡を受けたら入社前研修の有無を確認し、なるべく研修に参加する前に辞退の意思を示しましょう。
転職で内定後に辞退を考える理由
売り手市の現在では求職者がより良い環境での就業を求めて内定辞退をするケースが増えています。
転職活動を経て内定をもらったものの、以下のような理由から辞退を考える求職者が多いようです。
- 現職が忙しく引き継ぎが間に合わない
- 家族から反対された
- 選考や内定後の手続きを通して企業に不信感を感じた
- 内定をもらった企業よりも良い条件を希望するようになった
- 病気や家庭の都合
自分で納得して内定辞退を申し出る場合は仕方ありませんが、入社したい意思があるもののやむを得ず内定を辞退する場合、一度企業へ相談してみるのもおすすめです。
内定辞退は企業にとって大きな損失になるため、入社日や勤務条件など交渉に応じてくれる可能性もあります。
内定後のトラブルを避けるポイント
内定後の辞退は内定承諾前・承諾後に限らずトラブルになる可能性があります。
気持ちよく転職活動を進めるため、トラブルを避けるためのポイントについて紹介します。
簡単に内定承諾をしない
転職活動で不安な日々を過ごしている中で内定が出ると嬉しいですよね。
貴重な内定にはすぐに承諾をしてしまいたくなる気持ちもありますが、まずは自分の転職活動の状況を確認しましょう。
内定をもらった企業以外に最終面接の予定や合否結果待ちがあるなど他から内定をもらえる可能性がある場合、その場での承諾は避けるのが無難です。
いつまで待ってもらえるか、具体的に「○日まで検討したい」と伝えるのもよいでしょう。
理由を聞かれたら正直に伝える
内定辞退の連絡をする際、採用担当者から辞退の理由について聞かれる場合があります。
採用担当者が辞退の理由を聞くのは、今後の採用活動の参考にしたいと考えるからです。
理由を聞かれても答える義務はないのですが、選考をしてくれた企業への誠意という意味で正直に伝えてあげましょう。
採用活動にコストと労力がかかっていることを理解する
入社辞退は企業へ大きな迷惑をかける可能性もあります。
場合によっては採用を一からやり直すことになるという企業もあるかもしれません。
内定辞退は求職者の権利ではありますが、「辞退できて当たり前」という態度ではなく、企業への謝罪の意思を持って接することでトラブルに発展するのを防げるでしょう。
転職活動で内定承諾後に辞退する方法
「内定承諾をしてしまったけど、事情が変わって辞退したい」
そんなときに企業へ連絡する方法について紹介します。
転職エージェントを利用している場合は担当者へ連絡
転職エージェントを利用して転職活動を行っている場合、まずはエージェントの担当者へ連絡を入れます。
担当者が企業へ連絡してくれるため、求職者からはノーアクションで済む場合がほとんど。
ただし、誠意を示す意味でエージェントからの連絡が済んだ後に謝罪のメールを送っておくと企業側も気持ちよく辞退を受け入れてくれますよ。
メールよりも電話がベター
企業の採用担当者へ直接連絡する場合、まずはメールよりも電話での連絡を優先します。
「直接話すのが不安だからメールがいい」という人も多いですが、話すトーンや雰囲気で誠意を伝えやすいのはメールよりも電話です。
まずは電話で連絡し、担当者が不在の場合はメールでの連絡でもOK。
電話で辞退を伝えた場合でも、念のため後からメールも送信しておくと良いでしょう。
まとめ
転職での内定承諾後の辞退は何かとトラブルがおきがちです。
職業選択の自由により、求職者は内定辞退をする権利がありますが、企業にとって大きな損失となることを理解しておきましょう。
権利を振りかざさず、迷惑をかけて申し訳ないという気持ちをしっかりと伝えれば企業側もきちんと受け入れてくれます。
転職活動の内定承諾は今後の人生を決める大事な決定です。
自分が納得した企業へ入社するため、内定が出たからといって簡単に承諾せず、よく考えてから決めてくださいね。